2018年1月16日火曜日

2017年度第1回定例会開催記録(2017年7月16日)

2017年7月16日に第1回定例会が開催されました。


◆日時:2017年7月16日(日) 13時~16時半

◆場所:立教大学 池袋キャンパス 13号館1階会議室

報告者:大野聖良さん(日本学術振興会特別研究員(PD))

◇報告タイトル:「在留資格『興行』をめぐる入国管理と“女性”――『入管体制』のジェンダー分析にむけて」

下記、定例会の記録になります。

 日本社会では「国際移住労働の女性化」が特異な形であらわれたと言われている。1970年代、東・東南アジア諸国の女性が大量に来日し、日本の風俗・性風俗産業が女性たちの「就労」の受け皿として機能してきた。その代表的なアクターとして、在留資格「興行」のもとエンターテイナ―として来日したフィリピン女性たちが注目されてきた。
 本報告では、公益財団法人「入管協会」発行『国際人流』を対象に、入管行政において在留資格「興行」と外国籍女性による興行(エンターテイメント)がどのような問題として形成され、議論されてきたのかを言説分析を用いて明らかにした。まず、在留資格「興行」をめぐる諸アクターの位置づけや、入管行政の問題関心の推移を確認した後、「興行」の代表性、規制対象としての「興行」、「興行」・「ホステス」・「売春」との非/連続性についての考察を報告した。今後の課題として、入管行政では不可視化されていた招聘業界の分析の必要性を指摘した。

 質疑応答では、タイやフィリピンの移住女性の研究に携わる参加者から、分析資料の特徴や在留資格「興行」の代表性がいわゆる「芸能人」やスポーツ選手から「エンターテイナー」へと移行した背景、招聘業界の動向に関する質問がだされ、活発な意見交換が行われた。本報告では、日本における在留資格「興行」の議論の展開可能性について確認し、様々な課題を明確化する貴重な機会となった。




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