2013年11月16日土曜日

2013年度第4回定例会記録(2013年11月16日開催)

20131116日(土)に2013年度第4回定例会が開催されました。


・日時:20131116日(土)13時半~18時半
・場所:お茶の水女子大学文教育学部1号館3304号室

報告1:中村雪子(お茶の水女子大学 大学院博士後期課程)
タイトル:「インドにおける開発プログラムとしての「女性酪農協同組合」試論:ガバナンスとエンパワメントの視点から」
報告2:雑賀葉子(お茶の水女子大学 大学院博士後期課程)
タイトル:「ポストコンフリクトの状況を考慮したジェンダー・クオータ制の政治代表に対する影響分析について」


本定例会では、「ガバナンスとジェンダー」を共通テーマに、先行研究のレビューを中心とした2つの報告がなされた。「ガバナンス」が共通項ではあったが、フィールド、対象、分析の方法論と異なる点の多い報告となった。同時に、異なる点が多かったことから、「ガバナンスとジェンダー」研究の射程の広がりが感じられる定例会となったともいえる。



---下記、報告の要約になります。

中村雪子さん(お茶の水女子大学 大学院博士後期課程)
報告タイトル:『インドにおける開発プログラムとしての「女性酪農協同組合」試論:ガバナンスとエンパワメントの視点から』
報告者は、長年インド・ラージャスターン州で展開する女性酪農協同組合を対象にフィールドワークを続けてきた。近年では、特に村落/集落から州レベルにいたる酪農協同組合組織全体におけるガバナンスへの女性の参加状況を、法体制、経済体制、さらにグローバルかつ国家の開発政策の変化などから分析する研究を進めている。本報告では、Aradhana SharmaParadoxes of EmpowermentDevelopment, Gender and Governance in Neoliberal Indiaを先行研究として取り上げた。Global Assemblageという用語をてがかりに、開発とジェンダーの領域における「ガバナンス」と「エンパワメント」との関係性を批判的に分析するための方法を検討した。



雑賀葉子さん(お茶の水女子大学 大学院博士後期課程)
報告タイトル:『ポストコンフリクトの状況を考慮したジェンダーク・オータ制の政治代表に対する影響分析について』
報告者は東ティモールの国政選挙におけるジェンダー・クオータ制についての研究を進めている。本報告会においては、Susan Franceschet, Mona Lena Krook and Jennifer M. Piscopo(The Impact of Gender Quotasを先行研究として報告した。本書では、クオータ制導入によって政治的代表、すなわち記述的代表、実質的代表、象徴的代表がどのように形成されたかを分析し、クオータ制賛成派が主張する目的を達成しているのか、あるいは反対派の主張する結果となっているのかを検証している。事例としてフランス、アルゼンチン、ウガンダ、モロッコ、英国、ブラジル、南アフリカ、アフガニスタン、ベルギー、メキシコ、ルワンダ、インドの12か国を取り上げる。クオータ制の有効性が実証的体系的に検証されていないことに対して、本書は多様な国を事例に取り上げ、そのインパクトを比較分析しており、意義は大きい。しかし、事例には90年代に紛争を終結し政治的民主化の経験の浅い国々も含まれている。政治的民主化の経験を分析枠組みに含める必要性や含める内容についての考察を報告した。