2017年2月11日土曜日

2016年度第1回定例会開催記録(2016年12月17日)


2016年12月17日に第1回定例会が開催されました。


日時:2016年12月17日(土) 16時~18時

場所:立教大学 池袋キャンパス ロイドホール五階第三会議室

報告者:小川真理子さん(日本学術振興会特別研究員(PD))

報告タイトル:東日本大震災と女性支援-宮城県A市におけるDV被害者支援を事例として-


下記、定例会の記録になります。


本報告では、2013年から2016年に東日本大震災被災地における女性支援をテーマとして行なった宮城県A市の調査結果の一部を主に紹介した。被災地では、女性被災者の雇用問題や経済状況の悪化、DV被害等が明らかになった。こうした状況に対して民間シェルターは全国ネットワークを駆使して支援者を同被災地に派遣し、24 時間の全国フリーダイヤル事業や同行支援、雇用創出等、女性や子どもの支援を行なってきた。報告では、仮設住宅での個別世帯における女性への暴力の危険性やDV被害者支援における関係機関の連携に関する課題を提起し、DV被害者の安全確保のための政策を提言した。
また、国際的な動向のひとつとして、2015年11月にオランダのハーグで開催された第3回世界シェルター会議について一部を紹介した。4日間の会議では、約120ヵ国から1000名を超える民間団体、政府、国連の関係者、専門家や研究者等が参加し、女性に対する暴力に関する共通課題について意見交換を行ない、暴力を根絶することの認識と対応を確認した。

質疑応答では、実際に女性支援に携わっている複数の参加者から被災地におけるDV被害者支援の課題の解決策について提示された。行政の男女共同参画行動計画や防災計画に女性の視点を取り入れること、そのためには会議等に女性メンバーが参加することが重要であるとの指摘があった。また、災害とジェンダーの視点から災害がDVが問題化される契機になりうるという指摘もあった。調査からは、未曾有の災害によって避難所へ逃れたことにより、初めて他の家族の様子を垣間見て自分が夫からDVを受けていたと気がつき、支援にアクセスした女性被災者が複数いることが明らかになった。こうした女性たちは夫から逃れ、中長期にわたってさまざまな支援を得て新たな生活を再建している。この点に関連して、災害時における女性のエンパワーメントの視点も含めて検討することが示唆された。本報告では、参加者全員が自身の経験や研究を通して今後の被災地における女性支援について考え、語り合う貴重な機会となった


会場の立教大学はクリスマスのイルミネーションが華やかでした

定例会後は、会場近くのタイ料理屋さんで懇親会を開催しました。
写真は、タイ在住歴のある参加者の方おすすめの豚肉料理コームヤーンです。







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